
大谷石は表面に無数の穴が開いており非常に見た目におしゃれであるため、古くから擁壁の材料に使われてきました。
その特徴は柔らかくて加工しやすく、さらに軽いために積み上げもしやすいことから比較的高い擁壁などを作りやすいことや、さらに耐火性に優れていることから住宅の防火壁などにも適した素材となっています。
大谷石は非常に壊れにくい
非常に壊れにくいと言うこともあり、現在でも様々な用途で使用されているのが特徴です。
ただし無数の穴が開いていることから雨風の浸食等には比較的弱く、そのために劣化をすると表面が剥がれ落ちてしまうことから見た目に汚くなってしまうと言う難点があるため、このような状態になったときには何らかの補強を行わないと最悪の場合には崩れてしまうと言う問題があります。
大谷石はその外観が非常に美しいため、多くの人が可能であればその風合いを生かしたいと考えるものですが、実際にはそのままの状態にしておくと内部から腐食をしてしまう恐れがあるため、一般的には古くなってくるとこれをいちど壊して積み上げ直さなければなりません。
しかし実際にはこの作業を行うには非常に多くの手間がかかるため、様々な方法で補強をすることが多くなっています。
表面をモルタルで固める
補強の1つの方法として、その表面をモルタルで固めると言うものがあります。
モルタルは一般的には木造住宅等の外壁に利用されるものですが、強度を高めるためには非常に効果的な方法となっているため、大谷石の補強にも非常に効果を示すものと考えられます。
基本的には住宅の外壁を補修する場合と同じように表面にモルタルを塗り、ひび割れ防止のメッシュなどを取り付けて重ねて塗っていくと言う方法となります。
表面を塗り固めてしまうため、外観は大谷石である事はわからなくなってしまい、コンクリートの擁壁のような状態となってしまうことが多いのですが、表面の劣化等を極力抑えることができる上、大谷石の特徴である耐火性は維持することができるため、非常に効率的な方法となっています。
強化剤を利用してその強度を高める
このような大規模なモルタルを利用して完全に補強をする方法のほかに、最近では強化剤を利用してその強度を高めると言う方法がよく利用されます。
この場合には非常に簡単な作業となる上、見た目をそのまま美しく保つこともできる反面、全体に腐食が進んでいる場合などは対応できないと言うこともあるためその加減を十分に判断することが必要です。
多少劣化した程度であればこの強化剤を利用する方法で比較的対応をすることができるので、軽微な作業の場合にはこの方法がよく使われることも覚えておくと便利です。
基本的な手順は表面の劣化している部分などをワイヤーブラシで削り落とし、表面をきれいにすると言う工程から始まります。
次に強化剤を表面にブラシで刷り込むようにして塗布し、30分程度放置して乾燥させます。
この作業は1度だけではなく基本的には2回ほど繰り返すと安定するものとなっており、表面の穴の開いた風合いもそのまま保つことができるので、見た目を変えたくない場合には非常に効果的な方法となっています。
さらにより強度を高めたい場合
さらにより強度を高めたい場合にはさらに重ね塗りをすることで効果を示すことができるので、状況に応じてその作業を行うことが必要です。
ただし大きな穴が開いている場合には、強化剤だけでは十分な強度を保てないと考えられることも少なくありません。
その場合にはその部分だけにモルタルを埋めて強度を高めるといった方法が行われることもあります。
モルタルは比較的柔軟性があるものであるため、部分的な補修でも比較的高い効果を示すと言う特徴があることから、このような場面でも非常に役立つものとなっているのです。
そのため、補修をする場所の劣化具合によって補強材とモルタルを上手に使い分けながら効果的に行うとより効果を高めることができます。
腐食劣化した部分を完全に取り去ること
全体をモルタルで塗り固める場合であっても、もしくは強化剤を利用したり1部にモルタルを利用する場合であっても注意しなければならない事は腐食劣化した部分を完全に取り去ることです。
この部分が残っていると同じ劣化を再発させてしまうため、十分に注意をしなければなりません。
一般の人が自分でこの作業を行う事は道具と材料があれば比較的簡単に行うことができるものですが、劣化部分を逃さず処理し行う事はある程度熟練した人でなければなかなか難しいものとなっています。
プロであれば経験と知識を持って亀裂の外内部の腐食等を見抜くことができるため、この部分も逃さず対応することができるのですが、一般の人ではなかなかこの部分に対応することができません。
まとめ
大谷石の工事は簡単な作業であると考えられても、一般の人がやると様々なトラブルを起こしがちと言う特徴があります。
そのため基本的にはプロに依頼をする方が良い方法となっており、また安心して使い続けることができるのでプロに依頼する方が良いものとなっています。