会社では従業員の給料を計算する業務を行う人が必要とされていますが、給与明細を作成して銀行口座にお金を振り込むまでが給与計算業務に該当します。
経理担当になったのであれば、基礎知識や注意点を理解した上で実施する必要があることを理解しておきましょう。

総支給額から控除額を引いた額が差引支給額になる

まず、基本的な知識として総支給額から控除額を引いた額が差引支給額になることを知っておく必要があります。
基本給に残業代や手当てを足した金額が総支給額であり、税金や社会保険料が控除額となることが多いです。
控除額には親睦会費などの項目が設けられているケースもあります。
計算によって導き出された差引支給額は、実際に従業員の口座に振り込む金額です。
たとえば、25万円の総支給額で控除額が4万円であれば、21万円を振り込むことになります。

従業員の給与が毎月大きく変動する会社は少なく、前月をベースに当月の変更しなければならない部分をチェックする方法が採用されているケースが多いです。
具体的なやり方としては勤務時間や時間外手当、各種手当を計算することで総支給額を算出します。
続いて、住民税や社会保険料、源泉所得税やその他の控除を合計して控除額を出しましょう。
最後に引き算をすれば給与計算が完了します。
起業したばかりの会社でなければこれまでの計算方法が残っているはずなので、基本的にはこれまでのやり方に従って算出していくことになるでしょう。

個人の成績に応じた歩合制を採用している場合は複雑化することが多い

基礎的なやり方を見てみると簡単に実施することができそうだと感じるかもしれませんが、必ずしも簡単にできるわけではありません。
給与や控除額が毎月ほとんど変わらないような企業であれば簡単に実施できるかもしれませんが、個人の成績に応じた歩合制を採用している場合は複雑化することが多いです。
引っ越しで交通費の支給額や家賃補助額が変更される、結婚などで家族手当てが発生し手当ての額が変更されるケースもあります。
様々な要因から作業が大変になる場合もあると知っておきましょう。

情報漏洩をしないこと

給与計算を実施する際には、いくつかの注意点があることを理解しておかなければなりません。
注意すべき内容の1つには情報漏洩をしないことがあげられます。
この業務には従業員の個人情報が多く含まれており、外部に漏洩させるようなことがあれば大きな問題に繋がりかねないです。
1件でも個人情報を取り扱っている場合は個人情報保護法が適用され、これに違反して漏洩させた場合はその従業員を雇用している会社に30万円以下の罰金が科せられ、漏洩させた従業員本人は6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる対象となります。
クレジットカードや銀行口座の不正使用などがあればその損害額も賠償する必要がありますし、金額の大小に関係なく会社や他の社員から信頼を失うことにもなるでしょう。
給料やボーナスの金額を他の人に勝手に伝えることも行ってはいけません。
不正利用などの被害が生じない情報の漏洩だとしても、絶対にやってはいけないことだと覚えておく必要があります。

計算ミスが発生すると労務的な問題や税務的な問題が発生する

計算ミスが発生すると、労務的な問題や税務的な問題が発生するという注意点も知っておくべきです。
従業員が納めるべき所得税や住民税、社会保険料の金額まで行っているので、これに誤りがあれば後から数年分まとめて請求されたり追徴課税があったりします。
税務署による税務調査や労働基準監督署による立ち入り調査の対象にもなりかねないので、細心の注意を払って作業を行う必要があるでしょう。
ちょっとしたミスであったとしても、正しく税金が納められていないなどの問題が発覚すると会社にも大きな迷惑をかけることになります。
そして、計算間違いがあった場合に発生する修正作業には、たくさんの労力と時間が必要になるので、ミスが起こらないように気をつけておくことが大事です。

給与計算ソフトを導入している企業も多い

給与計算を実施するためには、基礎的な知識をしっかりと身につけ、注意点を守りながら正しい方法で計算を行うことが大切だと言えます。
従来は経理担当者が自分で計算するケースが多かったのですが、近年は給与計算ソフトを導入している企業も多いです。
こういったソフトを活用すれば間違いが起こりにくいですし、短時間で作業を完了することができるので非常に便利だと言えます。
従業員が多い場合やこの作業を行うための時間を確保することが難しい場合は、ソフトの導入を検討することもおすすめです。
ただし、ソフトを導入する場合でも個人情報の漏洩が起こらないように注意すること、計算間違いがないかどうか何度もチェックすることは必須だと言えます。
会社において給料を計算することは非常に大切な業務の1つです。

まとめ

お金が関係してくることですし、従業員が手にすることができる給料や支払う税や保険料に関係するものなので、確実に行う必要があります。
経理担当になった場合は、基礎的な知識と注意点を確実に理解し、正しい方法で実施することができるようにしておきましょう。

日本クレアス税理士法人 中途採用」より抜粋